【保存版】ごみ屋敷の片付けテクニック~1日で解決する魔法の裏ワザ


今では社会問題となり、ときにはテレビで特集が組まれるほど世間に知れ渡った“ごみ屋敷”の存在。片付けられない人が急増したことで、まだごみ屋敷の数は増え続けています。

こちらでは、そんなごみ屋敷にお困りの方、家がごみ屋敷になってしまった方に向けて、具体的な解決策を紹介することにしました。家主が高齢者なのか、若者なのかによっても対応は変わってきますから、まずは正しい知識を得ることが先決になります。ぜひ、こちらのページを最後までお読みの上、早期解決を目指していただければ幸いです。

  1. 深刻化するごみ屋敷問題の現在
  2. ごみ屋敷問題の現状~一般的な対応策は?
  3. 片付けられない症候群が増えている!?
  4. 自分で片付けるなら!ごみ屋敷の片付け方
  5. ごみ屋敷の片付けを業者に頼むことも可能!

いくらかの費用と、丸1日の時間があれば、ごみ屋敷の解決は可能です。もちろん、費用をかけたくない方に向けて、自力での対処法も掲載しています。本気で解決する気になれば、おおかたの問題は解決するものです。まずはごみ屋敷問題に関する現状と解決策を学んでみませんか?

1.深刻化するごみ屋敷問題の現在

俗に“ごみ屋敷”と呼ばれているのは、敷地内に収まらないほど大量のごみであふれかえった住居です。2009年に国土交通省が調査を行ったところ、日本全国でごみ屋敷の存在する自治体は250市町村でした。

近い将来、ごみ屋敷になってしまいそうな状況の家屋は全国で1万軒以上ともいわれています。今後も、日本各地でごみ屋敷問題が増加していく恐れが強いでしょう。

ここでは、ごみ屋敷の背景、原因を明らかにした上で“ごみ屋敷を放置するとどんな問題が生じるのか”を解説したいと思います。

1-1.ごみ屋敷問題の背景~高齢化との関連

ごみ屋敷に住んでいる方の多くは、高齢者です。特にひとり暮らしの高齢者は、なかなか家の中を片付けられなくなる傾向があります。本人が悪い…とばかりいえるものではなく、ある程度、仕方がない部分もあるのです。

社会とのかかわりがなくなると、家の見栄え、清潔感に対する関心が低下します。誰でも、家に人を招く機会がなければ、こまめに掃除をしなくなるはずです。誰かと会う予定がないなら、身だしなみにも気を遣わなくなるでしょう。社会とのかかわりが薄い高齢者が片付けをしなくなるのは、ある意味、当たり前のことなのです。

社会からの疎外感に加えて、高齢者はもとから体力的不安を抱えています。若者であれば、ごみ屋敷になりかけた時点で一念発起し、部屋を片付ける体力・気力もあるでしょう。しかし、高齢者の場合は片付けるのも大変です。粗大ごみなど、体力を必要とする不用品があればなおさらだと思います。

また、高齢者は所持品に思い出を重ねているケースが多く、物を捨てることに抵抗を覚えやすい…という問題もあるでしょう。日本人特有の“もったいない精神”も、物を捨てられない傾向に拍車をかけます。

以上のような理由により、ひとり暮らしの高齢者が家をごみ屋敷にしてしまうことが増えているようです。急速な高齢化に伴い、今後も日本国内のごみ屋敷は増えていくでしょう。

ごみ屋敷問題は高齢社会における問題の1つであり、あくまでも“十分に起こる可能性があること”という認識を持つことが大切になります。必要なのは、ごみ屋敷の住人を責めることではなく、解決方法を考えることです。個人の問題として切り捨てることは止め、社会問題の1つとして扱うことが求められているように思えます。

1-2.ごみ屋敷が発生する原因とは?

広い意味では高齢化問題の1つ…と解説しましたが、もちろん、具体的な原因は存在しています。こちらでは、家をごみ屋敷にしてしまう原因について、より詳しく列挙することにしましょう。

1-2-1.抑うつ状態が原因のケース

社会から阻害された状態が長く続くと、うつ病の発症率が上がります。とはいえ、心療内科での診察を経ないと病気かどうかの判断は不可能です。そのため、こちらでは気持ちが沈みこんだ状態を指す“抑うつ状態”という表現に留(とど)めたいと思います。

抑うつ状態に陥ると、人は精神活動が弱まるのです。何かをはじめる意欲が失われますし、物事に対する興味もなくなります。結果、掃除や片付けをする気力が奮い起こせず、ごみ屋敷になってしまうわけです。

抑うつ状態になりやすいのは、他者との交流がなく、生きがいが見いだせていない高齢者でしょう。心療内科の受診を勧めると同時に、地域の高齢者同士で交流を図る工夫が必要になります。

1-2-2.認知症が原因のケース

ごみ屋敷に住む高齢者の場合、認知症が原因となっているケースは非常に多いです。認知症は単に物忘れが増えるだけでなく、精神機能が減退する…という側面を持っています。そのため、抑うつ状態と同様、掃除や片付けをする意欲が失われてしまうのです。

また、認知症による物忘れ症状の1つとして、すでに持っているものを再度購入するなどの問題が現れることもあります。結果、所持品が増えすぎて収拾がつかなくなるわけです。経済的困窮にも繋(つな)がりますので、早急な医療機関への相談が必要になります。

1-2-3.強迫性貯蔵症が原因のケース

頭では“家を片付けなくちゃ…”と理解しており、特に行動力が失われているわけでもない。むしろ、片付けたいと思っているのに不用品を捨てられないなら、強迫性貯蔵症(ホーディング)の恐れがあります。

強迫性障害(強迫神経症)の一種であり、所持品を捨てることに強い抵抗を覚えるのが特徴。ほかに症状らしい症状がなく、所持品が捨てられないだけ…という場合、強迫性貯蔵症を疑ってください。

強迫性障害の場合、心療内科で投薬治療を行えば一定の治療効果が期待できます。パキシルに代表されるセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が効果的なので、十分に治癒が見込めるでしょう。

1-2-4.多動性注意疾患が原因のケース

高齢者ではなく、さらに抑うつ傾向も見られない。しかし、どうしても片付けに集中できない…という場合、多動性注意疾患(ADHD)の可能性が考えられます。片付けが苦手で、幼少期から“落ち着きがない”とか“集中力がない”と評価されていた方は多動性注意疾患の可能性が高いでしょう。

発達障害の一種であり、まだ確実な治療法は発見されていませんが、行動療法で一定の改善は可能。早めに専門医を受診してください。

1-3.ごみ屋敷から派生する問題とは?

さて、ごみ屋敷が社会問題化しているということは、居住者だけでなく近隣にも問題が波及していることを示しています。ここでは、ごみ屋敷が周辺に与える影響を解説することにしましょう。

1-3-1.悪臭による近隣への影響

ごみ屋敷に生ごみが溜(た)めこまれている場合、腐敗臭による影響が考えられるでしょう。ごみ屋敷に住んでいる本人は悪臭に慣れてしまい、周囲への影響に考えが及ばない…という可能性があります。自分の家の臭いが分からないのと同じ理屈です。

ただ、腐敗臭に慣れていない近隣住民は多大な迷惑を被(こうむ)ることになるため、近隣トラブルの要因になります。

1-3-2.ネズミ・害虫の大量発生

食品に由来するごみが多いと、ネズミやゴキブリの餌場になる可能性が高いです。結果、ネズミやゴキブリが大量発生。大量発生したネズミ・ゴキブリが向こう三軒両隣にまで行動範囲を拡大するわけです。

アパート・マンションなどの集合住宅でも、隣室が不衛生だとゴキブリの出現率が大きく向上します。ごみ屋敷のレベルによっては、近所の衛生状態まで悪化させてしまうことがあるのです。

1-3-3.犯罪発生率が向上する…!

ごみ屋敷をはじめ、適正に管理されていない家屋が存在すると、近隣での犯罪発生率が上昇します。“すでにごみだらけだから…”と不法投棄のポイントになるほか、最悪の場合は放火の対象になることも…。

ごみ屋敷の中は可燃物で埋め尽くされていることが多く、延焼の原因にもなります。放火があれば被害は甚大になりますし、また、近隣で発生した火災を拡大する要因にもなり得るのです。

1-3-4.交通の妨(さまた)げになることも…!

ごみが敷地内に収まらず、周囲に積み上がっていることもあります。当然、家の周囲は公道ですから、ごみが道路にせりだした状態になるでしょう。ごみの分量によっては、道路が封鎖される可能性もあります。

道路がごみで埋まれば、交通の妨(さまた)げになるでしょう。場合によっては、救急車・消防車・パトカーといった緊急車両の往来を妨害し、人命にかかわる事態を招く恐れも…。ごみ屋敷の問題は、まさに地域全体の問題なのです。

2.ごみ屋敷問題の現状~一般的な対応策は?

ごみ屋敷が社会問題になっていることは、ここまで解説したとおりです。しかし、ごみ屋敷が減少する気配はありません。

近隣にごみ屋敷がある…と地域住民から苦情申し立てがあった場合、市町村はどういった対応を行っているのでしょうか?ごみ屋敷の問題をなかなか解決できずにいる原因を究明したいと思います。

2-1.自治体はどのような対応をしている?

過去、ごみ屋敷に対して自治体が積極的な対応を実施したケースは存在しています。2008年、静岡県三島市はごみ屋敷に住んでいる75歳女性の安否が不明であることから、立ち入り検査を実施しました。

ただ、三島市の一件は家主である78歳女性を説得しての安否確認であり、強制力を伴うごみの撤去ではありません。あくまでも、安否確認です。ちなみに、75歳の女性は生存確認が取れ、市職員は私有物の片付け、定期的な安否確認を条件に引き上げました。その後、ごみが片付けられたかどうかは定かではありません。

このとき、三島市は高齢者虐待防止法を根拠に立ち入り検査を実施しました。ただ、根拠となる法律が高齢者虐待防止法では、ごみを強制撤去することはできません。

そのほか、2015年には京都市で、市がごみ屋敷のごみを行政代執行により強制撤去した事例があります。玄関の前に大量の私有物を積み上げていたため、通路の往来を妨害していたことが理由。緊急車両の通行妨害になる上、災害時の避難にも支障をきたすことから強制撤去に踏み切りました。根拠となったのは、2014年に施行された“京都市不良な生活環境を解消するための支援および措置に関する条例”です。ほかにも同様の条例を施行している自治体が存在し、状況によっては自治体が強制的に介入するケースも出てきています。

2-2.法律上、強制的な介入は難しい!?

ただ、ここまでに述べたケースは、あくまで例外に過ぎません。よほど切迫した事情がない限り、ごみ屋敷のごみを強制撤去することは困難です。

まず、第三者から見て明らかにごみ・不用品だとしても、所有者がごみだと認めなければ、法律上は私有財産になります。所有権がある以上、自治体が強制的に持ち去ることはできません。憲法29条にも“財産権はこれを侵(おか)してはならない”と明記されています。

奈良県で、ごみが道路にせりだした家の住人に対して、奈良県警が異例の逮捕を行った事例もありましたが、結局、何も解決しませんでした。一応、道路を占有した状態だったので道路交通法違反という法的根拠で逮捕することは可能でしたが、ごみを撤去することはできません。たとえ、持ち主を逮捕しても、所有物を強制的に没収することは不可能だからです。結局、微罪なので家主は釈放され、ごみが片付くことはありませんでした。

2014年には野党4党が“ごみ屋敷法案”を国会に提出しましたが、やはり、私有財産の強制撤去には問題も多く、法案成立に至っていないのが現状。特に、家主が有する私有地内に収まっている状況において、強制的に片付ける…というのは困難を極めます。持ち主から財産を奪えない…という大前提がある以上、今後も同じ状況が続く可能性が高いと考えるべきでしょう。

2-3.ごみ屋敷に対して、周囲ができることは?

ごみ屋敷が近隣にある…という場合、残念ながら、近隣住民ができることが限られています。たとえ敷地内からはみだしていても、勝手に片付けることはできません。家主本人が「自分の所有物だ」と主張すれば、持ち去ったほうが窃盗罪に問われる恐れもあるからです。

現状では、自治体にごみ屋敷問題を解決する条例があるかどうかを確認した上で、自治体に状況報告するしかありません。条例があれば、ある程度の対処をしてくれる可能性があります。また、条例が施行されていなくても、周囲に多大な影響を及ぼしている場合、一定の働きかけをしてくれる可能性があるでしょう。ただし、働きかけの名目が行政指導であれば、強制力はありません。仮に家主が従わなくても、罰則を科すことはできないのです。

逆に、ごみ屋敷の家主が親族ならば、十分に働きかけが可能だと思います。社会からの孤立が要因だと感じたら、親族の交流を再開するなどして、本人の心のケアをしてあげてください。信頼関係が構築されてから“片付けを手伝いたい”と申し出れば、聞く耳を持ってくれる可能性もあります。

精神疾患の疑いがある…というケースなら、医療機関の受診を勧めることになるでしょう。社会生活が不可能な状況であれば、まずは親族だけで医療機関に相談してみてください。状況によっては、親族の承諾だけで治療を開始することも可能です。

3.片付けられない症候群が増えている!?

ここまで、社会問題としてのごみ屋敷を扱ってきました。しかし、中には当事者・関係者として、ごみ屋敷の問題に頭を悩ませている方も多いでしょう。こちらでは、自分自身が片付けられなくて悩んでいる人、実家がごみ屋敷になりつつある人を対象として解決策を提示していきたいと思います。

3-1.片付けられない人は珍しくない!

精神疾患の診断を受けるほどではなくても、部屋の片付けが苦手…という方は多くいらっしゃいます。ごみ屋敷の前段階-汚部屋に住んでいる状態の方は、少しでも早く状況を改善して、せめてごみ屋敷へのエスカレートを防止しなければなりません。

部屋が片付けられない人には明確な共通点があります。部屋の収納スペースに対して、所持品の分量が多すぎるのです。ちょっと興味を持ったものを次々に買ってしまう。不用品を捨てられない。理由は人それぞれですが、汚部屋になりかけている部屋で暮らしている人は十中八九、持ち物があふれかえった状態に慣れてしまっています。

近年、断捨離という言葉が流行していますが、不用品を処分することは大切です。使わないものに囲まれて、必要なときに必要なものが取り出せないのは極めて非効率といわなければなりません。

必要なものが見つからない…という経験が積み重なると、今度は“すぐに取り出せるように出しっぱなしにする”悪習慣が身についてしまいます。収納スペースが足りず、ただでさえ所持品があちこちに散らばっている状況です。加えて、日用品まで床に出しっぱなしにしたら、部屋がどんな状況になるかはいうまでもありません。

片付けが苦手な人は、まず所持品の分量を減らすことが大切。収納スペースにきちんと収まる分量に抑え、どこに何があるかを把握することが、片付けの第一歩と心得てください。置き場を記憶できていれば、あれこれ意識せずとも決まった場所に収納することができます。使ったあと、持ち物をすぐに片付ける習慣が身につけば、汚部屋脱出は実現したようなものです。

  • 持ち物を減らす
  • 収納場所を把握する
  • 使ったあと、すぐに片付ける

以上の3項目を今すぐにはじめ、将来的にごみ屋敷へと発展するのを予防しましょう。片付け習慣は、自転車に乗るのと同じです。いったん、コツを掴(つか)んでしまえば、もう片付け方法に困ることはありません。

3-2.実家がごみ屋敷になったらどうする?

自分自身ではなく、実家の両親宅がごみ屋敷になっている…と悩んでいる方が増えているのをご存じでしょうか?最近では、“実家がごみだらけになってしまい、帰省するのが億劫(おっくう)”という方も多いのです。

高齢者の世代は戦後の物不足を覚えていることもあり、少しでも使える可能性があれば捨てない…という考え方の人がたくさんいます。“不用品は捨てるのが当然”と考えている若い人がいなくなると、自然と所持品が減らなくなる部分もあるでしょう。結果、所持品の分量が収納スペースの限界を上回ってしまうわけです。

もとより、高齢者には粗大ごみ、家電製品といった重たいものを運ぶ体力が残っていません。“もったいない精神”と体力低下の相乗効果で、部屋が散らかるのは致し方ないところもあるでしょう。

また、ご両親のいずれかが亡くなったと同時に、ごみ屋敷に変貌していく…というケースも見られます。連れ合いが亡くなった場合、家にあるすべてのものが“思い出の品”に感じられるのでしょう。ひとり暮らしになった寂しさも相まって、所持品を捨てられなくなる…。気持ちはとてもよく分かります。

ただ、やはり限度を超えた場合、何らかの働きかけは必要です。帰省の折によく話し合い、“足の踏み場がないような状態は高齢者にとって危険である”と理解を求めてください。

重要なのは、歩み寄りの姿勢を見せ、きちんと納得してもらうことです。いきなり無断で捨てるような行為は、信頼関係にヒビを入れる恐れもありますので避けましょう。ちょっと散らかっている程度なら、目をつむることも大事です。キレイに整理整頓するというよりは、ごみ屋敷になるのを予防する…というスタンスで対応するようにしてください。高齢者にとって、思い出は確かに貴重な財産です。若い人の価値観を押しつけるのも、やはり無茶(むちゃ)でしょう。

明確な不用品は処分を勧め、必要なら帰省時に片付けを手伝う。両親が孤独感に苛(さいな)まれないようにコミュニケーションを図る。相手を気遣う態度があれば、片付けに同意してくれるはずです。もちろん、よほど散らかっているのでなければ、ある程度、ご両親の意向を尊重することも忘れずに。高齢の両親が住む以上、実家の片付けは“程々にキレイにする”ことが肝心だと思います。

3-3.ごみ屋敷の遺品整理問題

両親・親族が高齢の場合、片付いていない実家で急逝される…というケースもあり得るでしょう。あまり考えたくない話ではありますが、事実として、ごみ屋敷の遺品整理という問題が存在しています。

特に、屋内に入ることさえ困難なごみ屋敷になっている場合、遺品整理は困難を極めるのです。ただでさえ、遺族は葬儀などを経て疲労困憊(ひろうこんぱい)している状況。山のように積み上がった遺品から必要なものを分別し、不用品を処分する…という作業は想像を絶するほどの苦難を伴います。両親・親族が亡くなった精神的ショックもある中、遺品整理の作業を進めるのは現実的ではありません。

片付いた家ならともかく、ごみ屋敷の状態になっているなら、遺品整理は業者に任せたほうが賢明でしょう。遺品整理の専門業者、あるいは遺品整理を引き受けてくれる不用品回収業者に相談し、ご家族は葬儀などの手続きに専念するのが現実的な選択肢です。

遺品整理であれば、業者側も気を遣ってくれます。思い出の品をうっかり処分することがないように、明らかにごみと分かるもの以外はいったん保管し、あとから必要かどうかを遺族に確認してくれるのです。当然、不用品は業者のほうで処分してくれますから、粗大ごみ処分の手続きを取る必要もありません。

4.自分で片付けるなら!ごみ屋敷の片付け方

ごみ屋敷まで発展してしまうとなかなか大変ですが、俗に汚部屋と呼ばれる程度なら自力で片付けるのも難しくありません。ワンルーム、1DKくらいの集合住宅1室であれば、1~2日でなんとかなります。

また、手間と労力はかかりますが、相応の覚悟があればごみ屋敷を自力で片付けることも可能です。なんとか自分の力で…と考えているのなら、以下の方法を試してみてください。

4-1.ごみ屋敷の掃除に必要なものは?

それでは、汚部屋・ごみ屋敷をキレイにするために必要な道具を紹介することにしましょう。生ごみが散乱した状態でも、どうにか自力で掃除する…という悲観的な状況を想定しています。以下の道具があれば、どのような状態になっていても掃除をすることが可能です。

4-1-1.ゴキブリ駆除剤

生ごみが多い場合、ほぼ間違いなくゴキブリ・ハエの巣窟になっています。最初に害虫を駆除しないと、まともに掃除をすることも困難です。駆除剤は部屋全体に効果を及ぼす霧状のタイプに加え、スプレー式の殺虫剤も用意してください。

4-1-2.蚊取り線香

小バエを弱らせ殺虫剤の効力をサポートする役目もありますが、主な用途は別にあります。線香を焚(た)くことで、生ごみの悪臭がいくらかごまかせるのです。作業中、生ごみの臭いにうんざりするのが目に見えているので、こういったごまかしも必要といえます。

4-1-3.指定ごみ袋

自治体にごみ袋の指定があれば、指定ごみ袋。なるべく大きい袋を用意してください。可燃ごみだけでなく、不燃ごみ、プラスチック類など、全種類をくまなく準備しておきましょう。どんな種類のごみが出ても大丈夫なようにしておかないと2度手間、3度手間になります。

4-1-4.台車

大量のごみを集積場に運ぶことを考えると、台車が必要です。また、掃除の終盤、粗大ごみや家電製品を処分するときにも役に立ちます。

4-1-5.軍手・マスク・作業着・雨ガッパ

ごみ屋敷の内部は、想像を絶するほど不衛生な空間です。また、割れたガラスなどの危険物が落ちていることも十分に考えられます。そのため、全身を覆っておく必要があるのです。

軍手は滑り止めのついたものを用意してください。マスクはハウスダストの吸引防止に必要です。作業着はいらない古着でも構いません。要は汚れてもいい衣服です。雨ガッパは絶対に必要…というわけではありませんが、天井から落下してくるゴキブリに触れたくないなら、用意したほうが無難といえます。作業の邪魔にならないように、袖(そで)・裾(すそ)はゴムバンドか何かで留(と)めておきましょう。

4-1-6.掃除用具

最後に室内を掃除するための道具です。バケツ・雑巾・モップ・たわし・洗剤などがあれば十分でしょう。使用するのは最後なので、とりあえず室内のごみを除去するのが第一…というのであれば、最初は用意していなくても構いません。

4-2.ごみ屋敷の片付け手順

それでは、実際の片付け方を解説したいと思います。害虫が湧いているレベルのごみ屋敷は、掃除のプロでも心が折れそうになるほどの難関です。以下の手順に従って、なるべく短期決戦で終わらせてしまいましょう。

4-2-1.まずは室内の害虫を徹底駆除!

掃除の最中にゴキブリの群れがうごめいている状態では、掃除に集中することさえできません。まずは本格的な掃除を開始する前日に、ゴキブリの駆除剤を使用してください。

最初に使用するのは、室内全体に効果のある霧状の殺虫剤です。入れるところまで室内に入って、なるべく奥に1~2つ設置してください。さらに、入り口から遠くない場所にもう1つ設置します。室内は害虫の巣になっていますから、多めに設置するくらいでちょうどいいです。

これだけで小バエはほぼ全滅しますし、ゴキブリの大半も駆除できます。大型のクロゴキブリは全滅に至りませんが、とりあえず弱らせることは可能。害虫に打撃を与えた上で、翌日、掃除を開始します。

4-2-2.入り口付近のごみを除去!

掃除当日は、入り口付近にある明らかなごみを片付けましょう。缶・ペットボトル・食品容器・紙類など、誰が見てもごみと分かるものを優先的に袋に入れるのです。もちろん、手には殺虫スプレーを忘れずに。食品容器の周囲には生き残った害虫がいるはずです。ごみの多い場所には殺虫剤を噴霧しながら、どんどん袋に入れましょう。

4-2-3.ごみの量が減ったら、仕分け作業

入り口から順に明らかなごみを処分し、ごみの分量が大幅に減ったら、仕分け作業を行います。要するに、残るものと捨てるものを区別するわけです。

ただ、よほど貴重なものを除いては基本的に処分する方向で進めてください。所持品が多すぎたから片付かなくなったのです。あれもこれも残していては、ごみ屋敷を解決することにはなりません。一瞬でも迷ったら捨てる。使う可能性が低いもの、消耗品のたぐいもすべて処分してください。貴重品以外は原則として捨てる…という覚悟で臨まないと、ごみ屋敷は片付けるのは困難です。

第一、ごみ屋敷の内部に置かれていたものは大半が汚損しています。貴金属類・現金といったものを除いては、すべて価値がなくなっているでしょう。思い出の品を残すにしても、最大でダンボール1~2個に留(とど)めてください。

4-2-4.ごみの搬出をして、最後に掃除!

処分するものは、どんどん集積場に搬出しましょう。ごみ収集日まで待っていたらキリがありませんから、最低でも処分に関しては業者を利用してください。不用品回収業者に依頼すれば、まとめて引き取ってくれます。

7~8割を一気に引き取ってもらえば、残りは収集日まで待ってもいいでしょう。とりあえず、最初に搬出した明らかなごみをまとめて引き取ってもらうところまでは絶対に必要です。

屋内のごみがなくなったら、最後に掃除をします。洗剤を使ってモップをかけるなどして、虫が湧かない程度に衛生状態を回復させましょう。生ごみがなくなれば、新しく害虫が寄ってくる心配はほとんどありません。生ごみからの滲出液(しんしゅつえき)など、害虫の餌になる成分を一掃するのです。

4-3.不用品・粗大ごみの回収方法はどうする?

即座にごみと分かるものはともかく、まだ使える不用品が出た場合はどうするべきでしょうか?こちらでは、屋内の片付けで見つかった不用品の処分方法を解説しています。また、粗大ごみ・家電製品の処分方法に頭を悩ませている方に向けて、大型不用品の処分法に関しても併せて解説することにしました。

4-3-1.自治体のごみ収集に依頼する

使える不用品といっても、ごみ屋敷から出てきた物品です。多くの場合、第一選択は“処分”になるでしょう。ほとんどの方は、粗大ごみ・家電製品なども一括処分しようと考えるはずです。

もちろん、きちんと分別できていれば、自治体のごみ収集に出して構いません。粗大ごみに関しても同様です。きちんと粗大ごみシールを貼り付けて収集をお願いすれば、収集してくれるでしょう。

ただし、家電製品は少し話が異なります。家電リサイクル法により、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンの特定4品目は粗大ごみとして回収できないのです。特定4品目の家電製品は、販売店・メーカーに連絡して別個に処分しなければなりません。通常の粗大ごみに比べて費用もかかりますし、販売店に引き取ってもらうには手間もかかります。

4-3-2.リサイクルショップなど中古市場に回す

次にリサイクルショップへの売却ですが、ごみ屋敷から出たものに関してはあまりおすすめできません。ある程度の汚損があるでしょうから、リサイクルショップで満足に値段がつく可能性は極めて低いです。

未開封・未使用のまま、比較的キレイな一角に放置されていた…というなら別ですが、ごみ屋敷で使用していた製品を中古市場に回すのは倫理的にも問題があるでしょう。

4-3-3.不用品回収業者に依頼する

片付け手順の項目でも触れましたが、ごみ屋敷の片付けで発生した不用品に関しては不用品回収業者に依頼するのがおすすめです。通常のごみと一緒に依頼すれば、粗大ごみ・家電製品も一括して引き取ってもらえます。

もちろん、粗大ごみシールを貼る必要もありませんし、家電リサイクル法の対象品目でもOK。煩(わずら)わしい手続きを踏むことなく、電話1本で引き取りに来てくれます。ただでさえ、ごみ屋敷の掃除には手間がかかりますから、ごみの引き取りは業者にお願いしたほうが効率的でしょう。

5.ごみ屋敷の片付けを業者に頼むことも可能!

自力で片付ける方法については上述しましたが、やはり、非常に労力のかかる作業になります。仕事で忙しい方はもちろん、体力に自信のない方、害虫が苦手な方にとっては、あまりにも困難な作業といえるでしょう。

また、広い一軒家がごみ屋敷になった場合、素人の力ではなかなか効率的に作業を終えることができません。やはり、度を超したごみ屋敷に関しては、プロの力を借りたほうが賢明だと思います。

5-1.業者に任せたほうが良いケースとは?

ひとくちに“ごみ屋敷”といっても、実際にはさまざまな状況が考えられます。部屋のあちこちにごみが散乱している…というレベルなのか、それとも屋内に入ることさえ困難な状況なのか。結局、すべては程度問題です。

まずは、“プロに頼んだほうがいい状況とは、どんな状況か”という基準を明確にするべきでしょう。

5-1-1.屋内に入ることさえ難しい場合

天井付近までごみが積み上がっており、玄関から先に入ることさえ困難…という場合、素人の手には余ります。最悪、崩れてきたごみの下敷きになり、大けがを負うかもしれません。

中の様子さえ満足に確認できないレベルのごみ屋敷は、専門業者に任せたほうが賢明でしょう。

5-1-2.割れたガラスなど危険物が多い場合

窓ガラスなどが割れており、室内にガラス片が落ちているような状況です。また、金属片など鋭利なものが散乱しているケースも同様でしょう。軍手で防げないレベルの危険物が大量にあるなら、素人による作業は危険です。

5-1-3.認知症・精神疾患を患っている場合

家主本人が認知症や精神疾患を患っており、片付けに協力してくれない場合、ご家族は家主のケアに集中したほうがいいでしょう。

また、家主本人が片付けを希望しているケースでも、“片付ける意志はあるけれど、ADHDなどが原因でうまく片付ける自信がない…”という場合、プロに任せたほうが効率的です。

所持品を捨てることに強い抵抗があるケースも同様。片付けにチャレンジしようという決意は大切ですが、完遂できなければごみ屋敷の問題は解決しません。完遂する自信がなければ、業者に依頼したほうが賢明です。

5-1-4.仕事が忙しい場合、遠方の実家を片付ける場合

多忙で片付けの時間が取れない場合や、遠方の実家がごみ屋敷になっている場合、自力での解決は困難を極めます。放置していても解決しませんから、早めに専門業者に相談してみてはいかがでしょうか?

仕事が忙しいことも、実家が遠いことも、時間が経過することで解消する種類の問題ではありません。むしろ、悩んでいる時間がもったいないですから、業者に依頼して早期解決を図りましょう。

5-2.専門業者に依頼するメリットとは?

専門業者は、素人なら唖然(あぜん)とするほどの状況をいくつも乗り越えてきたプロの集団です。玄関から室内に入ることができない状態のごみ屋敷でも、1日あれば片付けることができます。もちろん、害虫駆除から最後の掃除まで含めて、1日です。

ごみの搬出・処分といった事後処理に関しても、すべて業者側が行います。依頼者は基本的に何もする必要がありません。粗大ごみ・家電製品はもちろん、危険物・産業廃棄物が見つかった場合も問題なく処理してくれるのです。

さらに、多くの業者では深夜対応・即日対応も行っています。集合住宅が汚部屋になっている場合などは、“管理会社に知られたくない…”といった心理的プレッシャーもあるでしょう。深夜対応をしてもらえば、管理会社はもちろん、隣室の住人に知られることもなく作業が完了します。当然、プロですから騒音を立てないように作業する方法も熟知しているでしょう。

手早く、人に知られずに問題解決を図るなら、やはり専門業者に依頼したほうが効率的です。

5-3.ごみ屋敷を片付ける際の業者選びはどうする?

ごみ屋敷の片付けを請け負っている業者は数多くありますが、どのように選べば良いのでしょうか?ここでは専門業者を選ぶ際のポイントをまとめていきたいと思います。

5-3-1.損害保険に加入しているかどうか

ごみが天井まで積み上がっている状況では、ごみの崩落…といった問題が考えられます。ごみが崩落したり、粗大ごみが転倒したりして、家屋が破損したとき、損害保険に加入している会社なら安心。修繕費などが、保険会社から支払われるからです。

5-3-2.料金体系がウェブサイトに明記してあるか

便利屋など、料金体系が不明確な業者に依頼すると、料金トラブルに巻き込まれる恐れがあります。ごみの分量、作業時間など客観的な基準による料金体系が明示された業者を選びましょう。

まともな業者なら、ウェブサイトに料金体系を明示しているはずです。あらかじめ料金体系を確認し、見積額が料金体系に基づいているかをチェックするようにしてください。

5-3-3.不用品回収・買い取りを行っているか

不用品の回収を行っている業者であれば、粗大ごみなどの搬出後、処分までを一括して引き受けてもらえます。単に掃除するだけでなく、不用品をすべて引き取ってくれるのかを確認しておいてください。

また、不用品の買い取りを行っている業者なら、未使用の家電などが見つかったときに買い取りをお願いできます。古物商の許可を受け、買い取りを行っているのかどうか…も併せて確認しておくといいでしょう。

5-3-4.清掃・不用品回収の専門業者かどうか

世の中には便利屋といって、雑務全般を引き受けている業者が存在します。しかしながら、便利屋の中には、回収した不用品を不法投棄するような悪徳業者も存在するのが実情。

きちんと、清掃や廃品回収を専門的に行っている業者に依頼してください。不法投棄などの問題が発生すると、依頼者までが責任を問われることになります。

5-4.ごみ屋敷を片付ける際の料金相場は?

部屋の数、ごみの分量によって料金が変動するので、明確な基準があるわけではありません。集合住宅の場合、部屋の階数・エレベーターの有無などの条件によっても値段は変わります。

一般的には、2tトラック1台で15~20万円…というのが基本料金の相場。基本料金に加えて、階数・エレベーターの有無・作業時間によるオプション料金が加算されることになります。

2tトラック1台は、カップル(2人暮らし)の引っ越しに使われる車両です。ごみの分量が、2人分の家財と比較して多いか少ないか…を基準に基本料金を推測してみるといいでしょう。ごみが多い場合は2tトラックが2台になり、料金相場はおおよそ倍額になります。

まとめ

以上、ごみ屋敷となった住居をキレイに掃除するための方法でした!

近隣に迷惑をかけることのないよう、早め早めの対処が重要です。以上の情報を参考に、ぜひ、早期解決を図っていただければと思います。

  1. 深刻化するごみ屋敷問題の現在
  2. ごみ屋敷問題の現状~一般的な対応策は?
  3. 片付けられない症候群が増えている!?
  4. 自分で片付けるなら!ごみ屋敷の片付け方
  5. ごみ屋敷の片付けを業者に頼むことも可能!

ここまで解説したように、ゴミ屋敷の片付けは、料金も労力も必要になります。テレビ・仏壇・ベッド・パソコンなど廃棄処分が難しいものが出てくるため、自力で解決するのは至難の業(わざ)でしょう。できることなら、部屋の片付け方をしっかり習得して、ごみ屋敷になる前に対処できるようになりたいですね!


即日出張もOK!不用品回収・買取どちらも対応!大手リサイクルショップより高額での買取事例多数!

家電・家具などの不用品を高価買取!